2月24日(木)
晴れ
社長のオーラ
うちの会社には会社案内がない。
ホームページもない。
過去の実績すらまとまっていない。
それでも20年続いてる。
仕事後、社長と餃子屋へ。
社長は餃子が大好きだ。
しかし今日は運悪く
目当ての焼餃子が売切れだった。
「…餃子屋なのに?」
サングラスの奥がギラリと光る。
※社長は風呂に入るときも色校を見るときもグラサンなのだ。
49歳の大男がほっぺを膨らまし、う〜んと唸っている。
一見チャーミングだが目は笑っていない。
店員の女の子は無言でその場に突っ立っている。
「は、春巻きにします?」
「いいね。じゃそれで」
パタンとメニューを閉じタバコに着火。
社長は切り替えがはやいのだ。
「今の子、けっこう可愛いよな」
ムホホと笑い、ぐびりとビールを飲みだした。
「客観的に見てもさ、俺はオーラ出てるよね」
「…オーラ?」
「うん。自分でわかるもん、人を引きつけるオーラ」
「わかりますか」
「きっと話しかけたくなっちゃうんだよ、みんな」
「すごいっすね」
「なんでだろう、昔っからそうなんだよ」
「好感度、アイドル級」
「どこにいても、みんな俺によってくる」
「ごきぶりホイホイ的な」
「俺と話したいんだろうな」
「NO.1ホステスだ」
「いい感じのオーラがでてるんだよ、やっぱり」
「スケコマシともいう」
「あとさあ」
「はいすんません」
「遅刻すんなよな」
「はいすんません」
「精算もしろよ」
「はいすんません」
「シメは北海道ラーメン?」
「それは勘弁してください…」
みなぎるプレジデントの男汁にまみれ
餃子のない餃子屋の夜は更けていく。
世界はかように自信に満ちあふれているのだ。
遠慮しながらも胸を張って生きていこう。
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