毎日、しらとりが書いて、まるやまが描くブログです。

2011年1月15日土曜日

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2011年
1月8日(土)





右曲がりのジャンキー



新年会の翌日

人生ではじめて靖国神社に参拝した。

正月なので初詣ということになる。



天皇、戦争、右翼というイメージもあったが

詳しい事情は分からないし

都内有数のパワースポットでもあるという。

この際むずかしいことは置いといて

御利益目当てで九段下に向かうことにした。



駅を出て、坂の下から大きな鳥居を眺める。

「あれ、魚肉ソーセージみたいじゃね?」

と早くも口を滑らせたYッ子は

顔色の悪い兵隊たちに取り囲まれ

ぼろぼろの銃剣で滅多刺しにされていた。

しかるべきTPOをわきまえなくてはいけない。



血だるまになったYッ子を抱え本殿へ。

賽銭箱はメジャー系のビッグボックスだ。

5円玉を3枚投げ入れ、手を合わせる。

しかし抱負や願い事がうまく思い浮かばない。

すでに初詣4回目だからだろうか。

4という数字も縁起がよくない。



腑に落ちぬままおみくじを引く。

曰く、「いまに化けの皮が剥がれるぞ」。

なんと恐ろしい天誅だろうか。

おみくじにしてはアタッキーすぎる。

しかもこれは誰が言っているのだ。

もしお国のために尊い命を捧げた先輩方だとしたら

ますますもって怖すぎる。



やはり気軽な気持ちでくるべき場所ではなかったのではないか。

目に見えないものへの畏怖が膨らむ。

いくら戦争を知らない世代とはいえ

私の心持ちは不謹慎なものではなかっただろうか。

ここは御利益を求めにくる場所ではなく

鎮魂のお墓参りにくるべき場所なのだ。

冬ではなく、夏にくるべき場所なのだ。

それを 「企画ものの神社でしょ?」 だなんて

なんと罰当たりなことを…。



煩悶しつつジャリジャリの砂利道を歩いていると

グヒェ〜グヒェ〜という怪奇音が

まるやまさんのお腹から響いてきた。

そういえば朝から何も食べていない。

不安と同時に空腹もピークに達していた。



すると

どこからともなく顔色の悪い女が現れ

「あちらにお食事の用意が」と竹槍で前方をさす。

見てみると、先ほどまで目に入らなかった

巨大な神殿がそびえ立っているではないか。

看板らしきものには「タイランド」と書いてある。

タイ料理か、それも悪くない。



顔色の悪い女に案内され中に入ってみると

タイとインドがごっちゃになったような

スパイシーな料理が並んでいた。

しっかり値札も付いていて、800円弱と値頃である。

悪くない。

まるやまさんとKデールはカレー

Yッ子はガパオ、自分はタイラーメンを選び

ひとまず空腹を満たすことにした。



しかし、ひかえめに言って不味い。

甘すぎるカレー、辛すぎるガパオ。

まともなのはタイラーメンくらいだ。

めでたい新年、初めての靖国

みんなで初詣という特別な日にあって

ふさわしくない不味さである。

完食できず、うだうだ文句をたれていると

先ほどの女が現れこう言った。

「戦争中は食べるものすらなかったんだよ…」



中身の入ったビール瓶で殴られたような衝撃。

そうか、ここは靖国神社なのだ。

御利益がほしい、美味しいものが食べたい。

そんなことをほとばしる場ではないのだ。

だからおみくじはアタッキーだし

食い物はアンダーラインなのだ。

リメンバー、リメンバー。

知らなくたってリメンバー。

まずい飯にすら啓示の宿る靖国に敬礼せよ。







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