修行のように飲み歩けば
そのうち何かが分かるかも。
そんな妄濁がループして3年目の夏。
ガシャンと品を放り出す自動販売機に向かって
「どうもありがとうございます」と謝辞を述べられるのは
朝丘雪路くらいのものかもしれないが
BARの女の子に「会いたかった〜ん」と言われれば
大抵の男は微笑みくらい返せるだろう。
ところが半年ぶりにドアを開けた顔なじみの店で
「ベタベタしててキモいんじゃん」と
レタッチしたチクワみたいな女に言われたら
ナメクジのように速やかに溶け去るしかない。
帰りの始発ではタフぶって大股で座り
家に帰ってからは電動歯ブラシで念入りに歯を磨き
ベッドに入る前に祖母の遺影の前で手を合わせながら明日の決意を述べる。
うわべだけの口約束がうず高く山となり
認めてもらえないことばかり気に病んで
汚れたベッドで汚れた寝息をまき散らす。
思えば遠くまできたものだ。
フルートの息子は砂利になめられ砂を噛むしかないのだろうか。
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