3月18日(金)
晴れ
仙台へ
朝、物資の買い出し。
コンビニやスーパーをまわり
2Lの水を4本、単1乾電池6本を買い集める。
セブンイレブンには水が1本もなかったけど
となりのファミマにはぎっしり入荷していた。
なんだこの差は。
昼、仕事の合間にケータイを機種変。
ネットができるようにスマートフォンにした。
すぐ壊してしまいそうで不安だが
ともあれこれで連絡手段は広がった。
22時前、新潟駅に到着。
今夜はここで一泊し、明日の朝バスで仙台に向かう。
万代橋口にあるビジネスホテルに荷物を置き、物資を求めて街へ。
コンビニを8カ所回ったが
2Lの水はどこにも売っていなかった。
仕方がないのでパンやカップラーメンを買えるだけ買った。
大量のコンビニ袋をホテルへ置き、再び街へ。
とにかくなんとしてでも水を手に入れたい。
祖父の町内は断水中なので
水はいくらでもあるにこしたことはない。
飲み屋街や風俗街のコンビニまで足を伸ばし
さっきまわった店をもう一度覗いてみる。
やはりどこにもない。
新潟で調達するのはむずかしいのだろうか。
東京から持ってきた8Lでなんとかするしかないのだろうか。
ほとんど諦めかけていたとき
セブンイレブンのトラックを発見した。
もしやと思って近くの店舗に飛び込むと
冷蔵庫の前に段ボールが山積みになっていた。
入荷したばかりの商品だ。水もある。
「明日、仙台に行くので水をまとめ買いさせてくれませんか?」
近くにいた店員さんに声をかける。
「向こうは断水中で水が必要なんです」
なれない正義感のためか、変な汗が止まらない。
「2〜3本でもいいんで…」
もうなんだか嘘をついてるような気分だ。
日頃の行いが悪いからか。
うしろめたい人生だからか。
勝手に自爆してクラクラしていると
突然、店員さんが怒ったようにしゃべり出した。
仙台があんな状況なのに、新潟でも買い占めがひどいんです。
ここに置いといても買い占められるだけなんです。
仙台に持って行ってもらえるなら
そっちのほうがよっぽどいいです。
なんならこれ全部持って行ってください。
段ボールで持って行くことはできませんか?
あと、できればこれも持って行ってください。
救世主のような店員さんがレジの裏から取り出したのは
ネックウォーマーやカイロの入った袋だった。
被災地に寄付するために集めていたらしい。
胸が熱くなり、さらに汗がしたたり落ちる。
「分かりま・・・」「っしゃいぁせー!」
「かならず…」「こちらのレジどーぞー!」
「ほんと…」「2番目におまちのかたー!」
「ありが…」「ありゃーとござやしたー!」
「……」「っしゃいゃせーい!」
しっかりお礼を言いたかったが
レジ前の喧噪に巻き込まれ
2人はあっけなく離ればなれに。
オッケーマイメン。
あんたの戦場はレジカウンターだ。
今はバーコードを打ちまくってくれ。
この荷物は必ずオレが届けるぜ。
あんたの気持ちも一緒にな。
微笑をたたえ、店を出ようとすると
後ろから「お客さん!」と呼び止められた。
「あの、お水代を…」
「………」
ソーリーマイメン。
水はタダじゃなかったのね。
ありがたく買わせていただきます。
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