2010年
1月7日(木)
晴れ
少年は知っていた。
幸せな時間には終わりがあることを。
いままで彼を育んだふたつの山々。
ここにいられる時間はもう長くない。
これから長い道のりを経て
あらたな山を探す旅が始まる。
そうしたいわけではない。
そういうことになっているのだ。
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「チッ」
ふたつのチチを前にして
K太郎は舌打ちをひとつした。
何度も考え、決意したはずだった。
しかしいざその時になってみると
なにか申し訳ない気持ちになってくる。
チチに罪はないのだ。
チチはいつだって僕の味方だった。
へたくそなピエロが描かれたチチ。
意味不明な目玉が描かれたチチ。
カラシによってやや隆起したチチ。
深く本気で愛しあったからこそ
チチのそんな姿は見たくなかった。
美しい思い出のまま、お別れしたかった。
母の不安そうなまなざしに
ためいきまじりのSTOP MOTION。
「もういいんだ。さあ、お乳をしまっておくれ」
K太郎、2歳の冬。
みごとな乳離記念日でした。
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