2010年
1月6日(水)
晴れ
自分にも、何か特別なものがあるのではないか。
今はレトルト食品のように眠っているだけで
誰かがレンジでチンしてくれれば
もうもうと湯気の立つHOTな才能が溢れ出し
世界は祝福に満ちあふれるはずだ・・・・
ああ、私のチンを鳴らすのはダレ?
なんて
おなじみの他力本願にも見切りをつけ
いよいよ自力で“解凍”を試みるときがきた。
もう男には時間がないのだ。
不安と希望はハーフ&ハーフ。
いや
不安というごはんの上に
希望というとろろをちょっとかけた程度かもしれない。
意を決し、30年間締め切った蓋を開ける。
すると、そこは真っ暗な空間につながっていた。
足を踏み入れ目をこらす。
なにやら明滅する発光体が飛び交っている。
ああ、この光が私の才能なのだろうか。
キラキラ、きれいだ。
うっとりとしながら男が光に手をのばしたとき
突然部屋の明かりがともされた。
男は息を呑む。
そこには膨大な量の小さな紙片が舞っているだけだった。
紙片には文字が書かれているが
意味をなす文章にはなっていない。
これが自分の才能なのだろうか。
男は紙片をかき集めながら愕然とする。
無意味に断片化し
才能に擬態化した“思いつき”は
もはやただの紙くずにすぎなかったのだ。
影もできないほど光に満ち
無意味が吹き荒れる部屋の中で
それでも男は紙片を手に取り
一枚一枚ならべはじめるのだった。
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