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2010年

1月3日（日）

晴れ

朝起きると、誰もいなくなっていた。

カーテンを開けることもなく

蓋の開いたペットボトルの水を飲む。

あれ、あれれ。

おしりがなんだかあたたかい。

いて、いてててて。

腹に強烈な差込が…。

身に覚えがありすぎて

原因がぐるぐる脳内を回る。

トイレに駆け込み

凍った便座に座り

そのまま1時間ステイゴールド。

税金、はらいます。

保険料、はらいます。

病院にもいきます。

歯もちゃんと治します。

そうだ、人から借りてたDVDも返そう。

会社だって遅刻しませんから…。

ごめんなさいごめんなさいと

懺悔しながら

おそるおそる腰を上げる。

ぎゅぎゅぎゅーん。

だめだ、ぜんぜんだめだ。

神様は許してくれないんだ。

天罰に満ちあふれたトイレより

いのちからがら脱出し

凍てつく寝室の中で

布団乾燥機を抱えながら意識を失う。

ああ、もっと普通の

ただただ普通の正月が

欲しかっただけなのに。

夢の中で男は

やわらかくあたたかな温もりに包まれて

すべてのものに許しを与えていた。

全身汗にまみれて起きてみると

右足首がのっぴきならない

低温やけどに襲われていた。