6月2日(木)
今夜も3丁目
粉雪の中を匍匐前進
店に入ると
テキーラを飲みながら
クロスワードパズルを解いている男がいた。
女の子にもしきりにすすめ
「できなーい」と降参すると
微笑を浮かべ、得意げに解いてみせている。
こういう口説きテクなのだろうか。
しかし
レギュラーの西川君(あるある探検隊)のような角刈りだし
秋葉原にいそうな服装でリュックは背負ったままだ。
女の子もおそるおそる分厚いパズル本を手に取っている。
テキーラとクロスワードパズル。
角刈りとリュックとガールズバー。
完全に時空がねじれているではないか。
こうやってさ、ゆっくりさ、酔いながらね
パズルをね、頭をね、使うのが気持ちよかね。
酒にはパズルよ。
したたかに酔い、パズルを解く。
これが最高の時間の過ごし方よ。
ね。
こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪
ちょっと質問したつもりだったのだが
回答の最後が歌になっていた(レミオロメン)。
そして、一度歌ったら気持ちよくなったようで
「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」が止まらなくなってしまった。
「もう一杯こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」
「あああっ!!! こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」
「こな〜〜〜こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」
おまけにカウンターを乗り越え
女の子に触ろうとしはじめたので
こちらも「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」と歌いながら羽交い締め。
一瞬店内が騒然としたが、ちょっと止めると言うことを聞く。
悪い人ではなさそうだ。
だが放っておくとすぐ「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」がはじまってしまう。
めんどくさい人であることは間違いない。
もういったい何度「こな〜ゆき〜♪」を聞いただろうか。
しかも「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」しすぎで腰が抜けたらしく
最後は匍匐前進で店を出ていった。
お会計は2万5千円も払っていた。
あきらかにボラれている。
しかしエレベーターホールを匍匐前進しながら
笑顔で「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」と歌っている彼を見て
それでいいのかもしれない、と思った。
彼は孤高の逸脱者なのだ。
最敬礼でお見送りさせていただきました。
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