毎日、しらとりが書いて、まるやまが描くブログです。

2011年7月26日火曜日

6/2 粉雪の中を匍匐前進






2011年
6月2日(木)
今夜も3丁目





粉雪の中を匍匐前進



店に入ると

テキーラを飲みながら

クロスワードパズルを解いている男がいた。

女の子にもしきりにすすめ

「できなーい」と降参すると

微笑を浮かべ、得意げに解いてみせている。

こういう口説きテクなのだろうか。

しかし

レギュラーの西川君(あるある探検隊)のような角刈りだし

秋葉原にいそうな服装でリュックは背負ったままだ。

女の子もおそるおそる分厚いパズル本を手に取っている。

テキーラとクロスワードパズル。

角刈りとリュックとガールズバー。

完全に時空がねじれているではないか。



こうやってさ、ゆっくりさ、酔いながらね

パズルをね、頭をね、使うのが気持ちよかね。

酒にはパズルよ。

したたかに酔い、パズルを解く。

これが最高の時間の過ごし方よ。

ね。

こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪



ちょっと質問したつもりだったのだが

回答の最後が歌になっていた(レミオロメン)。

そして、一度歌ったら気持ちよくなったようで

「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」が止まらなくなってしまった。

「もう一杯こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」

「あああっ!!! こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」

「こな〜〜〜こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」

おまけにカウンターを乗り越え

女の子に触ろうとしはじめたので

こちらも「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」と歌いながら羽交い締め。



一瞬店内が騒然としたが、ちょっと止めると言うことを聞く。

悪い人ではなさそうだ。

だが放っておくとすぐ「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」がはじまってしまう。

めんどくさい人であることは間違いない。

もういったい何度「こな〜ゆき〜♪」を聞いただろうか。

しかも「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」しすぎで腰が抜けたらしく

最後は匍匐前進で店を出ていった。

お会計は2万5千円も払っていた。

あきらかにボラれている。

しかしエレベーターホールを匍匐前進しながら

笑顔で「こな〜〜〜ゆき〜〜〜♪」と歌っている彼を見て

それでいいのかもしれない、と思った。

彼は孤高の逸脱者なのだ。

最敬礼でお見送りさせていただきました。









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