2010年
9月24日(金)
雨
酸味がかった狂気に飲まれた夜は
仕事後、N君と新橋のSL広場で待ち合わせ
東京ではめずらしい「イートインできるフレグランス屋」へ行った。
町外れの4丁目、蛍光灯がまぶしい店内には
短ランスーツや深紅の極太サスペンダーをまとったお客がうろうろ。
これが「THE 裏・新橋」の現場なのか。かなり濃厚な怪奇臭が漂っている。
コーヒーショップ風のヨーロピアンな佇まいを想像していたため一瞬ひるんだものの
N君と2人、「せっかくだから」と体験入学。
レジ前のガラスケースに並んだカラフルなパッケージを眺めていると
「こちらを焚いていただきますとスッキリとした高揚感が・・・」
と、店員のお姉さんが商品の効能を説明してくれた。
この店のフレグランスは口から吸うタイプのものだと聞いていたので
「どうやって吸うんですか?」と聞いてみると
「はい。こちらを少量焚いていただきますと、スッキリとした高揚感が・・・」
と、同じことを繰り返すばかり。おそらく「吸う」と言ってはいけないのだろう。
口調がトロトロなのも気になるところだ。
購入した商品を店内ですぐ試せるとのことなので
さっそくスッキリとした高揚感のあるオススメの逸品を「焚いて」みることにした。
小一時間ほどフレグランスタイム。
予想以上の効能には驚かされたが、N君曰わく、「でもダサイじゃん」。
その一言にうなずき合い、「イートインできるフレグランス屋」を後にした。
金曜日だからなのか、新橋だからなのか
肩を組み、大声で叫びながら路地を蛇行するサラリーマンが目立つ。
顔を上気させ、ほとばしるパワーで部下の尻を揉みしだくおっさん。
前が見えていないのか、まっすぐこちらにぶつかってくるおっさん。
「スッキリとした高揚感」なんてまるでない。
歌舞伎町よりガラが悪い、というのがこの日の新橋の印象だった。
290円飲み屋でビールを数杯飲み
N君は妻の元へ、自分は新宿へ向かうことにした。
しかし3丁目に着いてみると
Jでは傷害事件について外野の深刻ぶった茶番が続き
GBでは苦手な店員の恋人に挨拶しなければならず
Sに避難したらしたで隣の席で女の人がいきなり泣き出す始末。
新橋の狂気といい、3丁目の閉塞感といい
今夜は人々の感情がはみ出してしまっているようだ。
こういうのって、月とか星とか雨のせいなんだろうか。
わからない。
わからないときはいつもより高速で回転し
もっとわからなくなってしまえばいいだけだ。
ぐるぐる、ぐびぐび、ぐるぐる、ぐびぐび。
わからない、わからない、わからない、わからない。
明け方気がつくと
2丁目のお姉さんたちの横でだし巻き卵を食べていた。
店を出ると、外はどしゃぶりの雨だった。
2丁目のお姉さんたちの横でだし巻き卵を食べていた。
店を出ると、外はどしゃぶりの雨だった。
どうやって帰ったかさえわからない。
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