2010年
6月1日(火)
快晴
[ story 01 ]
ヒーローにはピンチがつきものだ。
ピンチなきところにヒーローなし。
しかし、ピンチだからといって必ずしもヒーローが現れるとはかぎらない。
もちろん、現れてくれないと話が前に進まないのだけれど。
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<メンドークサの街中に張られたポスター>
来る!メンドークサ公開処刑の夕べ
〜長老ジジの家族が全員集合!みんなまとめてクビチョンパ!〜
6月1日 19:00〜21:00 @メンドークサ広場
観覧FREE! あのフルテン国王にも会えるよ!
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今日はジジ一家の公開処刑の日である。
数日前、「ダ・メンズ5を見つけ出すのじゃ!」と叫んだため
「ダメ人間&身の程知らず、最悪なことに謀反者!」とみなされたジジは
本人はもとより家族全員打ち首の刑に処せられることが決定した。
メンドークサの広場には5つのギロチンが設置され(ジジは5人家族。妻と娘×3)
今まさにヤル気に満ちたスタッフたちによる最後のリハが行われているところだった。
「大丈夫じゃ。きっとダメンズ5が助けに来てくれる」
広場の横にある控え室で拘束着を着せられたジジは
窓の外で青白く光るギロチンを眺めながらそうつぶやいた。
「てめ〜何回いや〜気が済むんだ糞ジジイ!そんな奴等いね〜っていってんだろ〜が!」
末娘がツバを飛ばしながら激怒する。
末っ子の可愛さにあまやかして育てたせいだろうか、口が悪くて困ってしまう。
黙っていればなかなか(そそる)器量良しなのだが…。
「てめ〜が余計なこと言ったからだろうが!なんでウチラまで殺られんだよ!」
一度火がつくと怒りの収まらない拘束着姿の末娘は
本人はもとより家族全員打ち首の刑に処せられることが決定した。
メンドークサの広場には5つのギロチンが設置され(ジジは5人家族。妻と娘×3)
今まさにヤル気に満ちたスタッフたちによる最後のリハが行われているところだった。
「大丈夫じゃ。きっとダメンズ5が助けに来てくれる」
広場の横にある控え室で拘束着を着せられたジジは
窓の外で青白く光るギロチンを眺めながらそうつぶやいた。
「てめ〜何回いや〜気が済むんだ糞ジジイ!そんな奴等いね〜っていってんだろ〜が!」
末娘がツバを飛ばしながら激怒する。
末っ子の可愛さにあまやかして育てたせいだろうか、口が悪くて困ってしまう。
黙っていればなかなか(そそる)器量良しなのだが…。
「てめ〜が余計なこと言ったからだろうが!なんでウチラまで殺られんだよ!」
一度火がつくと怒りの収まらない拘束着姿の末娘は
なんとかジジを殴ってやろうと芋虫のように身体をくねつかせた。
すると 、五体投地に失敗し(拘束着のため)そのまま床に転がっていた母が顔を上げ
「すべては宇宙の法則なのよ。さあ、あなたたちも神様に祈りましょう」とたしなめるも
「うるせ〜キメ〜んだババァ!神様なんてホットケ!」とますますいきりたつ始末。
顔を真っ赤にした末娘が次の罵詈をバリケーンしようとしたその時
「ビシャー、バシャー、ドッシャーーーーーーーーーー!」
と長女が拘束着の間から破水した。予定日は一週間後だというのに困ったものである。
特注であつらえてもらった妊婦用の拘束着は羊水でビタビタになり
なんとか起き上がろうとしていた母は娘の胎液で足を滑らせ側頭部を床に強打した。
「こんなときこそ他力本願じゃ。ダメンズ5や〜い!」
「うるせ〜ジジィ!次言ったらぶっ殺すからな!」
「お、大きな存在と一体化するのです。ば、万物はかつてひとつだった…」
「ビシャー、バシャー、ドッシャーーーーーーーーーー!」
拘束着姿のジジ一家は思い思いの体勢で辞世の弁を並べ立てていたが
そういえば先ほどから次女(もちろん拘束着)の姿が見えない。
堅牢な檻付きの控え室に監禁されているというのに困ったものである。
もしティーチャーに知れたら打ち首だけではすまされまい。
ヤル気に満ちたヤル気人間のこと、すぐさまヤル気に満ちた拷問を考えだし
「公開処刑の夕べ」が「悶絶!公開拷問SHOW」に切り替えられてしまうかもしれない。
想像するだに恐ろしいことである。
しかし、次女を除いた4人は彼女の不在に気がつく様子もなく
「ダ〜メンズ!ダ〜メンズ!ダ〜メンズ!ダ〜メンズ!」(ジジ)
「ぶっ殺す!ブッ殺す!ブッコローーーーーーーーース!」(末娘)
「アヌッタラ・サムヤック・サンボーディ。アヌッタラ…」(母)
「ビシャー、バシャー、ドッシャーーーーーーーーーー!」(長女)
と、ブレーメンの音楽隊よろしくノイジーに
家族水入らず(破水込)の最期の団らんを過ごすのであった。
(つづくかな)
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