毎日、しらとりが書いて、まるやまが描くブログです。

2010年5月13日木曜日

5/12






2010年
5月12日(水)
晴れ






FoolishなFelix君がご機嫌でレコードかけていると

やせ細った2人の男が地べたで向かい合い

<過去と未来の物語>なるものを紡ぎはじめました。





白馬の王子様を待ってばかりの男尊女卑君は

ある日スポンジになって世界を吸収しようと思い立ちました。

虹色の闇へと続く細長い道の前で佇んでいると

78の物語の中から抜け出してきた老人が現れ、こう告げました。

<汝、自身の師であれ>

<汝、汝を理解せよ>

するとたちまち男の身体はラクダになり

気がつくとよだれをだらだらこぼしながら

みじめに物乞いをしているところでした。

怠惰なラクダになってしまった男は

自分ではなにも考えず、誰かに頼りっぱなしで、流されながら暮らしました。

すると背中のふたつのコブがバリバリと破れ

中から獰猛なライオンが飛び出してきました。

そしてライオンは、あらゆるものを食い殺してしまったのです。

ライオンがあたりを見渡すと、血の海以外、知っているものは誰もいません。

ひとりぼっちのライオンは

沼のように溜まった黒い血をぴちゃぴちゃと舐めながら

「いっそひと思いに死ねたらいいのに」と思うのでした。

ライオンが血の海の中で途方に暮れていると

どこからともなく笛の音が聞こえてきました。

どうやらライオンの中で、誰かが笛を吹いているようです。

その笛の音は血の海を緑の大地に変え

気がつくと、男はいつのまにかもとの姿に戻っていました。

やっと元の姿に戻ったものの

男の目の前には巨大な牢屋が立ちふさがっていました。

門柱の先端は棘のように鋭く、太い鉄の鎖が幾重にも巻き付けられています。

男はひと目見ただけで<とてもここは通れそうにない>と諦めまかけました。

ところがよく見てみると、肝心の錠前が外れかけているではありませんか。

<身に付けた知識が邪魔をして、新しい扉を開く勇気が出せない>

というような世界とはもうコレでおさらばです。

虹色の闇へと続く細長い道の先には

桃色に輝く二本の木が寄り添うように立っていました。

二本の木が互いの枝先を少しずつ触れあわせると

新しい色の花が咲き

男はやっと真ん中の意味を知るのでした。






めでたしめでたし。









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