2010年
5月12日(水)
晴れ
FoolishなFelix君がご機嫌でレコードかけていると
やせ細った2人の男が地べたで向かい合い
<過去と未来の物語>なるものを紡ぎはじめました。
白馬の王子様を待ってばかりの男尊女卑君は
ある日スポンジになって世界を吸収しようと思い立ちました。
虹色の闇へと続く細長い道の前で佇んでいると
78の物語の中から抜け出してきた老人が現れ、こう告げました。
<汝、自身の師であれ>
<汝、汝を理解せよ>
するとたちまち男の身体はラクダになり
気がつくとよだれをだらだらこぼしながら
みじめに物乞いをしているところでした。
怠惰なラクダになってしまった男は
自分ではなにも考えず、誰かに頼りっぱなしで、流されながら暮らしました。
すると背中のふたつのコブがバリバリと破れ
中から獰猛なライオンが飛び出してきました。
そしてライオンは、あらゆるものを食い殺してしまったのです。
ライオンがあたりを見渡すと、血の海以外、知っているものは誰もいません。
ひとりぼっちのライオンは
沼のように溜まった黒い血をぴちゃぴちゃと舐めながら
「いっそひと思いに死ねたらいいのに」と思うのでした。
ライオンが血の海の中で途方に暮れていると
どこからともなく笛の音が聞こえてきました。
どうやらライオンの中で、誰かが笛を吹いているようです。
その笛の音は血の海を緑の大地に変え
気がつくと、男はいつのまにかもとの姿に戻っていました。
やっと元の姿に戻ったものの
男の目の前には巨大な牢屋が立ちふさがっていました。
門柱の先端は棘のように鋭く、太い鉄の鎖が幾重にも巻き付けられています。
男はひと目見ただけで<とてもここは通れそうにない>と諦めまかけました。
ところがよく見てみると、肝心の錠前が外れかけているではありませんか。
<身に付けた知識が邪魔をして、新しい扉を開く勇気が出せない>
というような世界とはもうコレでおさらばです。
虹色の闇へと続く細長い道の先には
桃色に輝く二本の木が寄り添うように立っていました。
二本の木が互いの枝先を少しずつ触れあわせると
新しい色の花が咲き
男はやっと真ん中の意味を知るのでした。
めでたしめでたし。

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