2010年
3月1日(月)
晴れ
昨日は2月の最終日だったので
書く人と描く人を入れかえてみました。
マンネリをふせぐ工夫です。
このささやかな試みのお祝いとして
夜は中野に繰り出し
はじめての店で飲んでみよう
ということになりました。
無論、マンネリをふせぐ工夫です。
「酒道場」と書かれた看板から
げんこつ煎餅のようなガンコオヤジがいるのでは?
と敬遠していたお店があったので
今夜は思いきって入ってみることにしました。
引き戸のようなドアは押し戸でした。
中にいたのはゲンコツではなく女将さんで
8人も座ればいっぱいになるカウンター。
だみ声の女将さんは気さくな人で
一見の僕らを奥の席に座らせてくれました。
客は僕らしかいませんでした。
「まぐろの脳天」と「肉豆腐(麩入り)」をたのみ
瓶ビールを二本飲んだところくらいから
じょじょに会話もほぐれだし
女将さんからいろいろな話を聞くことができました。
-----女将さんの話-----
このお店はもう40年以上続いているということ。
戦争帰りの常連さんたちは今はもう高齢で、最近は飲みに来られなくなってしまったこと。
養殖の魚は水っぽくて舌触りがザラザラしていること。
田舎から出てきた女将さんは18で水商売に入り
最初はなまりがはずかしくて「いらっしゃいませ」が上手に言えず
頭をペコリとさげるのが精一杯で、「いらっしゃいませ」の練習を夢にまで見てうなされたこと。
この世界では先輩のやりかたを「盗む」のが当たり前で、何事もまずはマネからはじめるしかないということ。
なめくじに塩をかけたことはあるけど、その後なめくじが消えたのか、元に戻ったのか、確かめたことがなくて気になっていること。
女将さんはジャズが好きで、居酒屋にはジャズが合うと思っていること。
クラシックは頭で聴くから話がはずまず、演歌は歌詞が強すぎて話がしづらく
ジャズは毛穴で聴くから話がはずむのだということ。
ものごとを思い通りに進めようとしてもうまくはいかず、やるだけのことをやったら「おまかせ、おまかせ」と天に預け
ニコニコしていればかならず良いことが訪れるということ。
ぷかぷか海に浮いているような、そんな気持ちで生きていくのが人生の秘訣だということ。
お坊さんが早起きをして掃除をするのは、草をむしりながら心の中の雑念をも摘み取っているからで
そうやっていつも心の中を空っぽにしておけば、常に新しいことが入ってきやすいということ。
新しいことを受け入れるために心を空っぽにするわけで、空っぽのままではだめだということ。
お店は12時に閉店するということ。
ビルの中で一番電気を使わないのが「酒道場」で
電子レンジもなにもないけれど、最先端のエコを実践しているのだということ。
女将さんの笑い声は、ガガガガガ。
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こんな話を聞きながら2時間くらいチョロチョロ飲みました。
おもしろい話といい話を織り交ぜながら話してくれるので
映画を一本見たような充実感と疲労感がありました。
いろいろ恥ずかしいことだらけですが
僕らもぷかぷか浮かびながらやっていきたいと思います。
女将さんありがとう。
月に1回くらい顔出します。
(毎日ではないです)
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